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世界的なSUVブームのなか、ポルシェが放ったミドルサイズの最適解が「マカン」。兄貴分であるカイエンに対して、後発の利を活かしたボディ剛性の高さや、ひとまわり小さなサイズが功を奏し、「SUV界のスポーツカー」と呼ばれるシャープなハンドリングと動力性能を備え、一躍爆発的な人気モデルとなっているのはご存じの通りだ。
そして今回は、そのヒエラルキーにおいて、ターボ/ターボ パフォーマンスの下に位置する「マカンGTS」を試した。舞台はJAIA(日本自動車輸入組合)の合同試乗会、コースは西湘バイパスから箱根ターンパイクにかけての往復という王道パターンだ。
そのベースとなるのはマカン「S」。フロントに搭載されるエンジンはターボ系(といってもみんなターボだけど)よりも608cc排気量が少ない2996ccのV型6気筒ツインターボ。その最高出力は「S」の340ps/460Nmから20ps/40Nm上乗せされた360ps/500Nmを発揮する。駆動方式はもちろん、FRベースの4WDだ。
さてその印象はというと、ファーストコンタクトは「みっちり」。鍛え上げられたサスペンションがタイヤでグワッ!と路面をつかんでいる感触が、走り出しからすぐに感じられる。しかしそこで「ガッシリ」ではなく「みっちり」なのは、その乗り心地にカドがないから。路面のうねりを乗り越えたときや、レーンチェンジでハンドルを切り返したときに横方向の短い振幅が起こらない。その予兆めいた雰囲気はあるのだが、それが起きそうだな...と思う前に、サスペンションがイナーシャを吸収しきってしまうのだ。
それはまずこのGTSが、21インチではなく20インチでタイヤを設定していることがひとつ。
そして足下にはエアサスを搭載していることがひとつ(車高が15mm低くなるスポーツシャシー搭載。さらにエアサスを装着すると、車高が10mm低くなる)。例えば兄貴分のカイエンGTSと比べると、GTSの全高は1610mmと、80mmも低いのである。
カイエンもこうした低級な揺さぶられ感を上手に払拭しているのだが、縦長な分だけ重心移動は多いから、ロール量も多くしてこれに対処している。対してマカンGTSはより浅いロール角でも、慣性重量を受け止めきってしまうわけだ。
よってその乗り味は、「乗り心地はいいけれどみっちり」となる。
真っ直ぐ走らせているだけでもそのステアリングにはタイヤからの高いグリップ感が伝わってくるし、電動パワステのフィールもドシッとしている。
感心したのは路面の悪い西湘バイパスでも突き上げを見事に吸収しきっていて、しかしながらエアサス特有の浮遊感を感じさせないことだった。
だから快適なクルージングを第一に望むならば、いくら"役付き"とはいえボクはGTSを勧めない。快適だけれど底知れぬド安定感。そう、ドイツ的マッスルカーの、ある種物々しい凄みを味わいたい人でなければ、GTSに乗る必要はないと思う。ただの「S」で十分だ。
ではなぜGTSがこんなセッティングを採っているのか? 言うまでもないことだがそれは、超高速域を補填するためである。いやむしろ、超高速領域こそがこのクルマの生息域と言えるだろう。
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【試乗記】ポルシェ、「マカンGTS 」を買う時に「S」と「GTS」で迷うなら、ステイタスだけで「GTS」を選ばない方がよい :山田弘樹 originally appeared on Autoblog Japan on Fri, 17 Feb 2017 03:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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