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「少しも滑らせない」のが、マツダのAWDの目指す姿だと聞いて、正直それはさすがに大げさじゃないかと思った。確かに理想だが、雪や氷の上でも滑らないなんて、易々とできるものじゃない。きっと皆さんも、そう思うはずだ。


でもマツダの開発陣は大マジメに、そう言うのである。ならばと、彼らの「i-ACTIV AWD」をじっくりテストするべく、我々が向かったのは、北海道のマツダ剣淵テストコース。実は、ここは専用コースの他に冬期だけ閉鎖した林道も開発に供しているという希有なコースである。「こういう生きた道が、実践的な開発の助けになっているんです」とはマツダの方の弁だ。

i-ACTIV AWDの一番の特徴が、前輪スリップ予兆検知システムだ。パワーステアリングのシステムなどを使って反力から路面のμを推定。また車両の対地速度と前輪の回転速度を照らし合わせることで、微細なスリップも感知して素早くトルクを後輪に分配して、空転を防ぐ。

演算は1秒につき200回行なわれるという。これは30km/h走行中には約4cm毎という細かさだ。更に、後輪の駆動ユニットに常にごくわずかなトルクを伝達しておくという制御も加えることで、いざ必要になった際にタイムラグ無く後輪にトラクションをかけられるようにもなっている。
つまりドライバーより先に素早く情報を認知し、スリップの予兆アリと判断したら、即座に駆動力を制御するということ。ドライバーにできない部分を巧みにサポートすることで、安全な運転を可能にしようというわけだ。


さて、では実際の走りはどうだったのか。今回はマツダの剣淵テストコースにて、様々なパターンの走りを試すことができたので、順に紹介していこう。


まず最初はアクセラにて、直線路、旋回場、周回路といった施設を使ってスロットルのコントロール性を確認した。正直、この時点で目から鱗という感じだった。

たとえばパイロンスラロームでは、アクセルを踏めばすぐに後輪にも駆動力がかかるレスポンスの良さが体感できた。一般的な前輪駆動主体のAWDは、基本的に前輪が滑ったら、それに対応して後輪にもトルクを配分する。しかしその場合は、前輪が滑ってアンダーステアが出たと思ったら、次の瞬間にはリアが滑って、なんてことになりがちだ。


ところがi-ACTIV AWDのアクセラは、そうした唐突な挙動変化が無く、普通の感覚でしっかりグリップしたまま走れてしまう。テストコースだけに思わずペースも上がってしまったが、これが一般道なら、つまり素直な操縦性が保たれるだけでなく、そのぶんマージンが増えているということである。
同様に、静止状態からの発進でも進路が乱れることなく、スルスルと当たり前のように真っ直ぐ進んでいく。拍子抜けするぐらい、という表現が相応しいほどだ。
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【試乗記】MAZDA「i-ACTIV AWD」 SKYACTIVで提唱した走りの哲学、AWDシステムにも浸透していた:島下泰久 originally appeared on Autoblog Japan on Thu, 04 Feb 2016 03:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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