Filed under: SUV, トヨタ, 日本, 試乗記

ジワジワと染み渡るこの味わいは,なんなのだろう。乗った瞬間に昭和の香りに満たされる。いや、乗る前からすでに、無骨な力強さを守りとおしてきたランクル70の世界に惹き込まれていた。巨大な四角形の鉄の塊が、全身で発散するオーラに驚くばかりだ。


ランドクルーザーは、1951年に誕生したBJシリーズに源流がある。警察予備隊からの要請で開発されたBJは、タフな走りが身上だった。それが枝分かれし、一方は豪華さを求めた200シリーズへと進化、その傍らで70系は純粋にBJの流れを汲みながらヘビーデューティ路線をひた走ってきた。多くのクロスカントリー派に支持されてきたのである。


70シリーズ誕生が1984年。生誕30周年を記念して再発売されたのがこれだ。多くのラブコールに応えてのリバイバルである。
多くのクロスカントリー系モデルが、いわば軟弱な都会的SUVへと進化していくなかで、70シリーズは頑固一徹に、ダートでの走破性に固執してきた。


いまでは希少な高剛性ラダーフレームを採用する。フロントサスペンションはコイルスプリングを組み込むが、リアはリーフスプリングだ。駆動方式は、パートタイム4WD。床から映えたキノコのような骨太のレバーを、力づくでコキコキすると、H2(2輪駆動モード)、H4(4輪駆動ハイモード)、L4(4輪駆動ローモード)へと切り替わる。

おそらく多くの現代人には、このトランスファーレバーの意味がわからないだろう。L4は、急な坂道や泥濘地で威力を発揮する。5速にシフトしたって、最高速は100km/hにも届かないほどのギア比だ。つまり、路なき路、河原や林の中をスタックせずに踏破するためのシステムなのだ。

室内からデフロックにスイッチすることも可能だ。これをオンにすれば、内輪差などお構いなしに、4輪に等しく駆動がかかる。瓦礫に足を取られたりしてスタックしそうになったらこれが生きるのだ。ボルネオの密林だって頼りになるはずだ。


そうそう、言い忘れていた。もちろんマニュアルミッションである。ギアは5速だ。エンジンは4リッターV型6気筒。最高出力は231ps/5200rpm、最大トルク36.7kg-m/3800rpmを発揮する。


いやはや、台によじ登るようにして運転席に潜り込む。簡素なコクピットは、それだけで新鮮だ。オプションのカーナビが組み込まれていることが不思議に感じるほどの、昭和の世界である。
Continue reading 【試乗記】トヨタ「ランクル70」乗った瞬間に昭和の香りに満たされる:木下隆之
【試乗記】トヨタ「ランクル70」乗った瞬間に昭和の香りに満たされる:木下隆之 originally appeared on Autoblog Japan on Tue, 24 Nov 2015 05:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
Permalink | Email this | Comments